◆VRゴーグルと解像度の関係~4KのVRゴーグルで4Kクオリティの360度映像を見るには?~
■4K映像+4KのVRゴーグルでも、実質4Kクオリティでは見られない!?
皆さん、こんにちは。
今回はVRと解像度・画質の関係についてお話したいと思います。
展示会などのVR体験で、よくお客様から「このVRゴーグルの解像度は何Kですか?」というご質問をいただきます。ヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)自体の解像度をお答えすることはもちろん出来ますが、360度VRの場合、”たとえ4Kのディスプレイで4Kの映像データを見ても、実質4Kクオリティで見ることは出来ない”ってご存知でしょうか?
VRの場合、その瞬間見えていない部分も含めた360度分の映像データが必要になるため、普通の平面ディスプレイとは異なる考え方をする必要があります。今回のブログでは、そのカラクリについてご紹介致します!
上図のように、平面の4Kディスプレイで4Kの映像データを見る分には無駄がありません。しかし、「4Kの360度映像」の場合、その瞬間見えていない部分も含めたデータが4Kということになるので、実際にVRゴーグル上で見えている映像は4K未満になってしまいます。
VRゴーグルを被っている最中、4Kでデータを入れたのに想定よりも画面がぼやける、粗い、と感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。このような現象は、VRゴーグル自体の解像度が低い、またはVRゴーグル自体が高解像度でも、映像データの解像度が不十分、といった原因によって発生します。
~まとめ~
①VRの解像度・見え方は、VRゴーグル自体の解像度×映像データの解像度で決まる!
■VR360度動画データ(編集後)・撮影データの理想的な解像度は?
ひと口に「VRの解像度」といっても、VRゴーグル自体の解像度なのか、映像データの解像度なのか、切り分けて考えなければならないことがわかりました。
それでは、実際に360度動画を撮影する際、VRゴーグル自体の解像度を最大限生かすための映像データの解像度は、どのように求めればよいのでしょうか。
弊社で取り扱っている端末、アイデアレンズK2+を例に考えてみましょう。
アイデアレンズK2+は、ディスプレイ2.5K(2560 x 1440)のVRゴーグルです。360度のVR空間を考える際、実際は球体のイメージですが便宜上立方体とし、その1面がVRゴーグル上で見えているものとします。
この1面を2.5K状態で見るためには、理論上、全体で2.5K×6面分の映像データが必要となります。ただし、立方体を球体に捉えなおした際、現実的には角の部分が重複するため、目安としては2.5K×4面=5K程度となります(※理想値)。
更に、ステッチ、編集、レンダリングといった作業のたびにデータの解像度は下がっていくので、「最終出力が5Kの映像データ」を作成するためには、より大きい解像度で撮影しておくのが理想的です。(※大きい解像度で撮影しておけば、ディスプレイが2.5K以上になった際には、最終出力の解像度を少しずつ上げていく、などの調整が可能です)
この考え方を元に、VRゴーグルのディスプレイ解像度がそれぞれ2K,4K,8Kの場合に必要な映像データと撮影時の解像度を求めると、以下のようになります。(※あくまでも理想値です)「4K映像+4KのVRゴーグルでも、実質4Kクオリティでは見られない!?」と言われると思わず頭が混乱しますが、少しは謎が解けたでしょうか。
ディスプレイ | 映像データ | 撮影時 |
2K | 4K | 8K |
4K | 8K | 16K |
8K | 16K | 32K |
※32Kは理論値として記載しています。
<ディスプレイ解像度ごとの理想的な映像の解像度および撮影時の解像度>
~まとめ~
①VRの解像度・見え方は、VRゴーグル自体の解像度×映像データの解像度で決まる!
②VRディスプレイの解像度<映像データの解像度<撮影時の解像度 が理想的!
■CPUと解像度のせめぎ合い
VRゴーグル自体の解像度・映像データの解像度・撮影時の解像度の関係がわかったところで、スッキリ解決!…という訳にもいきません。もう一つ忘れてはならないのが、「360度動画を映したり編集するためのマシンの性能」です。 高い解像度になればなるほど、映像をスムーズに表示させたり、自在に編集するのにハイスペックなPCが必要になります。現状、業務として8Kの映像を安定して編集できるPCは非常に高価で、普及にはまだ時間がかかる見込みです。そのため、16K以上のデータを編集できる業務環境は当分の間整わないと思われます。それに加えて特にスタンドアロン型VRゴーグルの場合は、一つの機器にCPU(スマートフォン相当)を搭載し、PCなどの外部接続なしで使用するため、搭載できるCPUのスペックにも限りがあります。つまり、高解像度で撮影しすぎると編集が難しく、高解像度で出力してもVR上でスムーズに動かない、などの問題が起こってしまいます。単純に解像度が高ければ高いほど良いという訳ではなく、いかに高解像度とスムーズな動作を両立させられるか、がポイントとなります。 このCPUとの兼ね合いから、先ほど例に挙げたアイデアレンズK2+の場合は、「ディスプレイが2.5K=映像データの理想値は5K」であるものの、実際には4Kの映像データ使用を推奨しております。(※4Kデータでも十分綺麗な解像度でご覧いただけるほか、動作もスムーズです。)2018年末現在販売・発表されているスタンドアロン型VR端末は3Kディスプレイが主流になっているのも同じ事情で、高解像度とスムーズな動作の両立を図るのがVR市場のトレンドになっていると思われます。 ~まとめ~
①VRの解像度・見え方は、VRゴーグル自体の解像度×映像データの解像度で決まる!
②VRディスプレイの解像度<映像データの解像度<撮影時の解像度 が理想的!
③単純に解像度が高ければ高いほど良いという訳ではなく、いかに高解像度とスムーズな動作を両立させられるか、がポイント!
いかがでしたでしょうか。
クリーク・アンド・リバー社では、ハイクオリティかつ手軽なVR体験をサポートします。360度映像の撮影、編集等コンテンツ制作から端末提供まで、VRに関することならなんでもご相談ください。
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今後は皆様のVRに関するよくある疑問、技術的なトピックスなど、知識系の記事も公開していきたいと思います。どうぞお楽しみに♪