▪新型コロナウイルスの影響で「バーチャル」市場への需要は拡大中▪
皆さん、こんにちは。
今回は「新型コロナウイルスを乗り越えよう!」というテーマをもとに、“リアルなイベントや展示会などを、VRを活用して代替するにはどうすれば良いか?”
についてお話していきたいと思います。
世界中が新型コロナウイルスという未曽有の危機を迎えるなか、厚生労働省の緊急経済対策の一環として「VRを活用したソーシャルトレーニングの導入」が支援されたり、
閉館中の様々な博物館・美術館がVR上で施設を公開するなど、VRへの関心は非常に高まっています。
そんな中でも最近特によくお問い合わせいただくのが、
「新型コロナウイルスの影響で中止になったイベントを、VR空間上で開催できないか?」
「今後も3密を避けなければならないので、VRを活用してイベントを企画できないか?」
といったご相談です。
実は当社も、参加を予定していたビジネス展示会が延期になるなど大きな影響を受けているので、当事者としてもこうしたお困りごとは大変よくわかります。
VRビジネスを展開する企業として、今こそVRを活用してお客様の課題解決をしていきたい!と思っています。
そこで今回は、「VRサービスやVRプラットフォームって、色々あるけど結局どれを使えば良いの?」という疑問に、事例と共にお答えしていきます。
各種VRサービス・プラットフォームは続々と新しいものが出てきておりますが、それぞれの違いや特徴を知ることで、「自分が望む活用方法に最も適したVRツールはどれか?」
を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
※こちらでは主要と思われるツールをメインにご紹介していきますが、今後も新たなツールの情報が集まり次第、随時アップデートしていきます!
※本記事に記載の情報は、2020年5月時点の情報です。 随時機能のアップデート等が行われている場合がございますので、あらかじめご了承ください。
<この記事はこんな方におすすめ>
✔新型コロナウイルスの影響で中止になったリアルイベントを、VR空間上で開催してみたい方
✔今後VRを活用して自社イベントを企画したい方
✔各種VRイベント系プラットフォームについて、違いがよくわからない方
▪具体的な事例をもとに、各VRサービス・ツールの特徴をご紹介!▪
▪Case1:新商品のリリースイベントを企画していたが、新型コロナで中止に・・・▪
➡clusterを使ってバーチャル開催してみよう!
まず始めにご紹介するのは、クラスター株式会社が提供するcluster(クラスター)というサービスです。
2017年のサービス開始以降、大人数で同時に参加できるバーチャル空間として、個人法人問わず数多く利用されています。
最近では、VR空間に渋谷の街を再現し、アーティストのライブやトークイベントを自宅にいながら体験できる
「バーチャル渋谷」企画などが話題になりました。
当社でも、新たな試みとして採用説明会をcluster上で行うなど、活用させていただいております。
clusterには「イベント」と「ワールド」という2パターンの使い方があり、企画内容に応じて選択することが出来ます。
「イベント」は“何かを発表する人(主催)がいて、多数のユーザーがそれを視聴している”という企画に向いており、「ワールド」は
“アバターや空間のカスタム自由度を上げて、双方向にコミュニケーションを取りたい”企画に適しています。
clusterの特徴は、なんといってもイベントモード利用時の同時接続数です。法人利用のスターターパッケージでは、
499名の同時接続が可能とされており、500名以上の同時接続でも別途サーバー費用を支払えば可能とされています。
これだけの大規模同時接続が可能なVRツールは現状他にないため、
「より多くの人に参加してもらうことが何より重要!」という方には、clusterがオススメです。
ただ、大規模同時接続とのトレードオフとして、イベントモード利用時はユーザー同士のコミュニケーション方法が限られていたり、
アバターとして一度に表示できる数にも制限がかかる場合があります。
例えば、「新商品のリリースイベントを企画していたが、新型コロナウイルスの影響で中止になったので、
cluster上で代替開催したい」といった場合、“イベントモードを利用し、既存のステージ空間を商品やブランドをイメージした
デザインにカスタムして、そのステージでプレゼンターが商品紹介を行う”などの活用が考えられます。
更には、“事前にチケットを有償で販売し、ユーザーはPCやスマートフォン、ヘッドマウントディスプレイなど好きなデバイスで
視聴できる”という点も大きな特徴です。
ただし、Oculus GoやOculus Questなど、人気のスタンドアロン型ヘッドマウントディスプレイには現状未対応なため、
VRゴーグルでの没入感ある体験を提供したい場合は、注意が必要です。
▪Case2:会社の遠方拠点で毎年恒例の社員研修を行いたいが、出張がNGになってしまった!
➡NEUTRANS BIZを活用して遠隔地とコミュニケーションしよう
次にご紹介するのは、株式会社Synamonが提供するNEUTRANS BIZ(ニュートランスビズ)というサービスです。
2017年にサービスが開始され、主に会議や研修・教育の分野でのビジネス利用をターゲットとしています。
大手通信キャリアや大手経営コンサルティングファームなども、社員研修や海外拠点とのコミュニケーションのために導入しています。
NEUTRANS BIZの特徴は、「VR空間内で、プレゼンテーションとコミュニケーションが両立できる」という点です。
安定的に双方向でコミュニケーションを行いながら、授業のようなレベルのプレゼンテーションも実施出来るというツールは、
なかなか他にはありません。PDFや画像・動画・音声・3Dモデルを空間にアップロードすることができ、PCの画面共有を行えば
PowerPointやExcelファイルを見せながら話すことも出来ます。更には、3Dペンで空間に立体的にオブジェクトを描いたり、
一つのホワイトボードに複数人で書き込みが出来るなどの機能も備えています。ただし、同時に同じ空間に入れる人数は10人までですので、
「少人数で、画像データなどを共有しながら密にコミュニケーションを行いたい」という方には、NEUTRANS BIZがオススメです。
例えば、「地方にある自社工場で行う毎年恒例の社員研修が、今年は出張NGで実施出来なくなってしまった」という場合、
“NEUTRANS BIZ上で地方工場の社員と繋がり、機械の3Dデータなどを空間に表示させながら研修を行う”といったことが実現できます。
もしくは、“工場内の映像をVR空間上で確認したのち、各種ツールを用いながらグループワーク&発表を行う”
というような活用方法も考えられます。
また、NEUTRANS BIZの場合は、ヘッドマウンドディスプレイでの利用をメインとしているため、Oculus QuestやWindows MRを含め
多くのVRゴーグルに対応しているのも魅力です。VRゴーグルがない場合でも、スマホには非対応ですがPCで参加することが出来ます。
▪Case3:展示会が中止に!折角ブースのデザインまで決まっていたのに…
➡STYLYを使ってバーチャル展示会を開催しよう
続いてご紹介するのは、株式会社Psychic VR Labが提供するSTYLY(スタイリー)というサービスです。
こちらは2017年のβ版リリース以降、実店舗と連動したVR×ファッションECなどの分野で注目を集めてきました。
最近では、今年5月に公開された、国立科学博物館の未公開の剥製を見学できるVR博物館
「THE WILDLIFE MUSEUM~ヨシモトコレクションVR~」でもSTYLYが採用されています。
STYLYの特徴は、「プログラミングやVRなどの専門知識なしでも、誰でもVR空間を作れる」という点です。
「アーティストに空間表現の場を提供するVRクリエイティブプラットフォーム」と銘打たれている通り、
専門知識がなくてもウェブブラウザさえあれば、感覚的な操作だけでVR空間を作って配信することができます。
空間表現に特化しているため、複数人が同時に同一空間に入ることは出来るものの、現状ではコミュニケーション機能はなく、
clusterやNEUTRANS BIZと比べるとデザイン性を重視したアーティスティックな利用に適している印象です。
そのため、「コミュニケーションよりも、VR空間をリッチに作り上げて公開したい」という方にはSTYLYがオススメです。
例えば、「ブースデザインまで準備を進めていた展示会が、新型コロナウイルスの影響で中止になってしまった! 」という場合、
”STYLY上に現実の展示会同様のブースを建てて公開し、バーチャル展示会を行う”といった活用方法が考えられます。
ただし、アバターを表示する機能はないため、誰かと一緒に見て回るよりは空間を一人で楽しむイメージになります。
デバイスに関しては、各種ヘッドマウントディスプレイ、PC、スマートフォンなど幅広く対応しているため、
体験の敷居が低いのは嬉しいポイントです。
また、「リアルイベントの代替」という観点からは外れますが、Lenovo Mirage Soloのようなカメラを内蔵したVRゴーグルを利用すれば、
“VRゴーグルを被りながら、現実の空間に沿った3Dオブジェクトが表示されるような疑似AR/MR”のような使い方も可能です。
▪Case4:作品の世界観に没入して、ファン同士でコミュニケーションできる場を企画したい!
➡VR Chatを活用してオリジナルワールドを作ろう
続いては、アメリカのVRChat Inc.が運営しているVRChatについてご紹介します。2017年のアーリーアクセス版リリース以降、
VR版SNSとして主に個人でヘッドマウントディスプレイを所有している一般ユーザーの間で普及してきました。
最近では2020年4~5月にかけて世界最大級のバーチャルイベント、「バーチャルマーケット4」の会場として利用され、
ソフトバンク株式会社や株式会社セブン&アイ・ホールディングスなど大手企業35社がブースを出展するなど、話題になりました。
VRChatの特徴は、「空間やアバターのカスタマイズ自由度の高さ」です。自分のアバターを3Dモデルで自作することも出来ますし、
空間(ワールド)を作成して公開することも可能です。公開範囲には5段階の設定があり、誰でも入れるPublicワールド、
フレンドだけが入れるFriendワールド、招待した人だけが入れるInviteワールドなど制限を調整することが出来ます。
2000年代後半に流行したSecond Lifeというゲームをご存知の方は、そのVR版というイメージをするとわかりやすいかもしれません。
VRChatは、「空間やアバターを自由度の高いオリジナルデザインで作成し、双方向コミュニケーションも行いたい」という方にオススメです。
例えば、「漫画・アニメ・映画などの世界観に没入して、ファン同士でコミュニケーションできる場を企画したい!」という場合は、
“作品の世界観を表現したワールドやアバターを作成し、公開する”といった活用方法が考えられます。先ほどのバーチャルマーケットのように、
販売可能な3DモデルをVR空間内で展示することも可能です。
留意点としては、こちらはアメリカ発祥のサービスですので、英語表記がメインで日本語には未対応です(2020年5月現在)。
デバイスに関しては、P基本的にはヘッドマウントディスプレイがメインとなりますが、PC用アプリにはデスクトップモードが存在するため、
キーボードでのアバター操作も可能です。
▪Case5:声優のトークイベントや朗読イベントが開催できない!
➡Virtual Castを活用して配信しよう
最後にご紹介するのは、株式会社バーチャルキャストから2018年にリリースされたVirtual Cast(バーチャルキャスト)というサービスです。
こちらは運営会社が株式会社ドワンゴの関連会社で、ニコ生のように配信に特化したサービスとなっております。
Vtuberのようにバーチャルキャラクターになって配信を行う目的で、個人法人問わず利用されています。
前述の「バーチャルマーケット4」では、VRChat会場内の見どころを部分的に反映したワールドを用意し、バーチャルキャスト内での連動イベント・配信なども行われました。
バーチャルキャストの特徴は、「とにかくバーチャル配信に特化していること」です。
視聴者からのコメントが送られると、その文字が空間内に立体的に飛び込んでくる・他の配信会場に飛び込み参加できる・手持ちカメラのようなアングルで撮影ができる
などの機能を兼ね備えています。アバターだけではなく、空間もカスタマイズすることが出来るので、
「自由度の高いアバターや、アバターに合わせたデザインの会場を用意し、マスに向けてコンテンツを配信したい」方にオススメです。
例えば、「アニメの声優トークイベントや朗読イベントなどが実施できない」という場合、“キャラクターのアバターを着て声優に出演してもらい、
配信する”などの利用方法が考えられます。また、対応デバイスについては、配信者側はOculus RiftやHTC VIVEなどのPC駆動型ヘッドマウントディスプレイを用意する必要がありますが、
視聴者側はPCやスマートフォンから楽しむことが出来るため、広く不特定多数をターゲットとすることが可能です。
▪まとめ▪
✔cluster:「より多くの人に参加してもらうことが何より重要!」という方にオススメ!
✔NEUTRANS BIZ:「少人数で、画像データなどを共有しながら密にコミュニケーションを行いたい」という方にオススメ!
✔STYLY:「コミュニケーションよりも、VR空間をリッチに作り上げて公開したい」という方にオススメ!
✔VRChat:「空間やアバターを自由度の高いオリジナルデザインで作成し、双方向コミュニケーションも行いたい」という方にオススメ!
✔Virtual Cast:「自由度の高いアバターや、アバターに合わせたデザインの会場を用意し、マスに向けてコンテンツを配信したい」方にオススメ!
いかがでしたでしょうか?
VR関連ツールは数多くありますが、今回はその中でも主要なサービスをご紹介してきました。
目的に合ったツールを賢く選択することで、
より効果的にVRを活用し、新型コロナウイルスを乗り越えていきましょう!
弊社では、お客様の目的や予算に合わせて、ご紹介したようなツールの選定から企画・イベント開催まで
一気通貫でサポートさせていただきます。
ぜひお気軽にお問い合わせください!